指1本でログイン、アプリ切り替え——指静脈認証技術で大塚商会とインスパイアがB2B市場で協業

2009年2月2日(月) 23時14分
インスパイア 代表取締役社長 高槻亮輔氏の画像
インスパイア 代表取締役社長 高槻亮輔氏
大塚商会 取締役兼専務執行役員 片倉一幸氏の画像
大塚商会 取締役兼専務執行役員 片倉一幸氏
ソニー B2Bソリューション事業本部 FeliCa事業部 FVA事業開発室 室長 天貝佐登史氏の画像
ソニー B2Bソリューション事業本部 FeliCa事業部 FVA事業開発室 室長 天貝佐登史氏
各種生体認証の特徴比較の画像
各種生体認証の特徴比較
モフィリアの特徴とビジネス展開:マインドマップ風のプレゼン資料だの画像
モフィリアの特徴とビジネス展開:マインドマップ風のプレゼン資料だ
大塚商会とインスパイアの役割の画像
大塚商会とインスパイアの役割
携帯電話に実装した指静脈認証システム:下の基板はカメラ映像や認証状況をPCでデモさせるためのユニットで、本体機能には必要ないもの。必要な機能はすべて携帯電話の中に実装されているの画像
携帯電話に実装した指静脈認証システム:下の基板はカメラ映像や認証状況をPCでデモさせるためのユニットで、本体機能には必要ないもの。必要な機能はすべて携帯電話の中に実装されている
USBドングルとして実装したセンサー:これも必要なアプリケーションなども内蔵しているの画像
USBドングルとして実装したセンサー:これも必要なアプリケーションなども内蔵している
センサーカメラがとらえた静脈パターン:3つのパターンをテンプレートとして登録し、読み取り位置がずれても識別率は変わらないの画像
センサーカメラがとらえた静脈パターン:3つのパターンをテンプレートとして登録し、読み取り位置がずれても識別率は変わらない
ID、パスワード代わりに指をかざすだけで、面倒なログイン手続きが簡素化されるの画像
ID、パスワード代わりに指をかざすだけで、面倒なログイン手続きが簡素化される
複数アカウントのログイン切り替えも指だけでできるようになるの画像
複数アカウントのログイン切り替えも指だけでできるようになる
モフィリアをベースとしたソリューションの例の画像
モフィリアをベースとしたソリューションの例
クライアントPCのセキュリティサービスの画像
クライアントPCのセキュリティサービス
DRMや認証局などのサービスでの応用例の画像
DRMや認証局などのサービスでの応用例
 大塚商会とインスパイアは2日、同日ソニーが発表した指静脈認証技術「mofiria(モフィリア)」を使ったサービス開発でB2B市場向けのソリューションとサービス開発で協業すると発表した。

 指静脈認証は、生体認証技術のひとつであり、同じ指を使った指紋認証より正確で処理が速いことが特徴とされている。指紋のパターンを読み取るのではなく、赤外線LEDによって指の静脈パターンを読み取ることで本人確認を行う技術だ。読み取る位置やセンサーへの圧力などの影響を受けにくく、今回ベースとなるソニーのモフィリアでは、本人拒否率が0.1%、他人受入率が0.0001%、パソコンでの認識速度が0.015秒という高性能なものだ。そして、一般的に指紋認証では、およそ4%前後の人が登録、認証ができないとされているが、静脈認証ではそのようなことはないという。

 インスパイア 代表取締役社長 高槻亮輔氏は、このように指静脈認証の特徴の説明から今回の協業について発表を行った。高槻氏によれば、ソニーのモフィリアは、精度が高く処理も高速なのでストレスフリーで生体認証が可能とし、しかも携帯電話やモバイルPCなどポータブルなアプリケーションにも応用できることに注目しているという。これによって、企業内のネットワークサービスや管理業務だけでなく、B2B2Cといった端末向けサービスの展開も可能になるからだ。ソニーとしては、この技術をB向けのソリューションのためのデバイス技術としてとらえるのではなく、グローバルなB2Cや認証プラットフォームとしての普及を狙っているようだが、国内では大塚商会とインスパイアのソリューションと導入コンサルなどのアライアンスが最初の発表となる。

 高槻氏は、精度も高く処理も高速ならばそのデータサイズやセンサーも大掛かりなものになるという疑問があるかもしれないが、それは実際のデモをみてもらえばその答えになるだろうと述べ、ソニー B2Bソリューション事業本部 FeliCa事業部 FVA事業開発室 室長 天貝佐登史氏を紹介した。

 マイクを受けた天貝氏は2つのアプリケーションを紹介した。最初のデモは一般的なログイン認証にモフィリアを使った例だ。Windows Vistaのログイン画面で、IDやパスワードの入力の代わりに指をかざすだけで一瞬でログイン認証が終わるというものだ。認証は瞬時に終わるので、確かにパスワード入力やそれを思い出す手間が不要になるのは便利だろう。次のデモは、かざす指によって別のアプリを起動するアプリケーションランチャーだ。指静脈のパターンは指ごとに異なるので、それを異なるアプリケーションプログラムに紐づけておけば、人差し指でブラウザ、中指でメールといった起動と認証が行えるというわけだ。

 なお、このために必要なハードウェアは赤外線LEDとCMOSカメラだけだ。個人の識別を行うのはもっぱらソフトウェアによる識別アルゴリズムだそうだ。したがって、セキュリティアプリケーションなどといっしょにセンサー部分をUSBドングルなどに実装したり、携帯電話に搭載することもなんら問題ない。

 続いて、大塚商会 取締役兼専務執行役員 片倉一幸氏が登壇し、同社が提供するB2B市場向けサービスの概要について説明した。まず、モフィリアをベースとしたビジネスには、製品販売、OEMビジネス、サービスビジネス、SIビジネスの4つが考えられるが、大塚商会とインスパイアが手がける領域は、B2B市場向けの統合認証サービスとし、具体的には、クライアントPC向けサービス、企業内ネットワーク向けサービス、管理業務向けサービス、企業間ネットワーク向けサービスになるだろうと述べた。

 クライアントPC向けサービスは、さきほどデモで紹介したようなUSBドングルやモバイル端末に組み込んだ形でのバックアップや認証サービスのことだ。企業内ネットワーク向けサービスは、企業のシステム部門でLAN内でのクライアント認証やActive Directoryなどとの連携を行うソリューションとなり、これは綜合警備保障(ALSOK)の入退出管理やID統合システムなどへの展開の予定がある。管理業務向けサービスは、ログ監視、ウィルスチェック、セキュリティアップデート、リモート監視などをSaaS方式で提供するシステムのことだ。最後の企業間ネットワーク向けサービスは、B2B、B2Cに対してDRM、ライツマネジメント、証明書サービスなどを想定しているという。証明書については、認証局プラットフォームにサイバートラストを利用するそうだ。

 発表会最後の質疑応答では、このアライアンスによる製品やサービスの開始時期、その目標などの質問がでたが、モフィリア自体が同日発表になったばかりで、具体的な製品化や商品化については今後詰めていくとした。ソニーによれば、この技術の商品化は1年以内としている。それまでに、大塚商会ではSIerとしてソリューションビジネスやASPサービスを検討、提供していく予定だ。インスパイアは、導入コンサルティングやプラットフォーム開発を手がけるそうだ。インスパイアはとくに、企業向けのシステム導入コンサルティングに実績があり、ベンチャー系である強みを生かし、大企業のグループや系列にとらわれないチャネルによって広く展開していく予定だ。
《中尾真二》
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