レガシーとのシームレスな連携がカギ——日立ソフトのSaaS戦略
IT化における最近の課題とそれに伴うサービス化の流れについて、日立ソフトの内藤圭介 氏は3つの流れがあると紹介。1つめが、システムの運用に伴うコスト負担増から、既存のシステムを持つことにはそろそろ限界が生じ、「脱・インフラ制約」する流れ。2つめが、ライフサイクルの短期化による経営資源への負担増から、「脱・資産管理とC/F改善」する流れ。そして3つめが、早期のサービスイン、およびメンテナンス開発期間の短縮を目指す「脱・納期限界/開発リスク」の流れだ。「従来のC/S型ソフトウェアは損益分岐点を迎えるまでに2年以上かかるが、1カ月程度で構築可能なSalesforceなら3〜6カ月」ことからも、企業が持つ課題を解決するためにサービス化がプッシュされているという。
こうしたサービス化への流れの中で日立ソフトは、金融・公共・流通・通信まで、幅広いシステム開発とパッケージ開発を手がけてきた豊富なシステム構築力、業務ノウハウ、開発力を武器とした「Solution as a Service」の提供を目指す。内藤氏は、「特定ベンダやグループ内だけに依存せず、多彩な関連ソリューションを提供したい」とも語り、幅広い選択肢から最適解を顧客に提示していく考えだ。
日立ソフトのサービス事業は2005年より段階的に進められており、Salesforceと同社のSalesforce連携サービス「SaaSWare」によるサービス提供、さらにはスポーツ・飲食・医療分野などのテンプレートを活用した業務別/特定業界向けの業種アプリケーションサービスの提供を手がけ、現在はこうした基盤を元に、サービス提供事業者向けに同社独自のSaaS・ASP共通基盤の提供を推進中であるという。
日立ソフトのSalesforce導入事例として、日本郵政グループ向けの問い合わせ対応システムが紹介された。顧客からの苦情データを受け付け、情報の蓄積/分析を行うシステムをSalesforceで構築し、そのデータをデータ連携サーバを用いて他の事業部と情報連携。全国約24,000カ所、40,000ユーザという大規模なシステムであるにもかかわらず、構築期間は約2カ月であったという。また信託銀行向けに、金融商品取引法の施行に合わせて6週間で立ち上げを実現した事例なども紹介。建設機械製造会社向けに導入した海外代理店SFAでは、「現地法人ですぐデモを行ったり、現場で打ち合わせしながら改修したりできたため、SFAの考え方が根付いていない中国において300店舗に約2カ月で導入できた」と、SaaS型のメリットを説明した。
また、SalesforceとInformaticaのPowerCenterを使ってレガシーとのシームレスな連携を短期間で実現した海外事例を多数持つことから、「大規模ライセンス導入では他システム連携をうまく作ることがカギ」と分析する。日立ソフトでは、他システム連携のサービスをセキュアオンラインを介して月額提供する「DataLoader」サービスを提供しており、データセンターにはそのPowerCenterを使用している。自社でこれを構築すると数千万円以上かかるところ、DataLoaderサービスを利用すれば月額65万円ですむという。PowerCenterにはコネクタが豊富に用意されており、SalesforceとDB2、Oracle、あるいはメッセージングシステムなどのシームレス接続が実現されるという。
日立ソフトの2008年3月期の売上高のうち、サービスおよびプロダクト&パッケージ関連の割合は21%であり、70%を占めるシステム開発と比べると少ないが、「サービス化の流れをかんがみ、2010年までには50%までに引き上げたい」(内藤氏)としている。
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