【ショートコラム】大胆予想! 米Yahoo!は検索エンジン部門を売るか?
この手紙を素直に解釈すると、アイカーン氏の提案は短期的な利益を追求するもので、マイクロソフトも競合相手への敵対的買収の可能性もある。アジアの資産を売却することで株主に利益を還元することが株主にとっても最大の利益につながるのでは、ということになりそうだ。確かに、この3つめの案なら、マイクロソフトの援助なしに経営を改善する方策となる。現時点の妥協案として悪くない。この案が支持され、アジアの資産=アリババやヤフー・ジャパンの株を手放す可能性は高いといえる。
しかし、あえてそうではない予想をしてみよう。その前に、この3つの案はどれも機関決定されたものでもなく、記事執筆時点で、日本のヤフーもソフトバンクもこの件について公式の連絡や打診などは受けていない(各社広報部)ことを述べておく。断るまでもないが、以下は、あくまで予想であり、記者の個人的見解だ。
まず、アジア資産の売却について。手紙には具体的な銘柄などは述べられていないが、中国のアリババ株、日本のヤフー株などが対象に含まれるだろうといわれている。Yahoo!がこれらの資産を売却するとなると、これまでの同社の説明と矛盾しないだろうか。Yahoo!は、買収価格を提示されたとき、一貫して、Yahoo!の価値は現状の売上や株価だけではなく、人材やアジア市場の有望な株式(このときはアリババやヤフーの名前を挙げている)などポテンシャルを含めると不当に安いと糾弾していたはずだ。Yahoo!にとって重要な価値であり資産の一部であるアジア株を現金化することは、それこそ短期的な利益を追求する戦略とならないだろうか。
また、日本のヤフーはソフトバンクと米Yahoo!のジョイントベンチャーとして起業されている。3社による契約もあり、Yhaoo!だけの意志でヤフーの株を処分できるのかという問題もある。現段階で、Yahoo!からソフトバンクやヤフーなどへの接触がないのが事実だとすると、この案の実現性に疑問符がつく。ただし、ソフトバンクグループは、チャイナモバイル、ボーダフォンらと7億人規模のモバイルネットワーク構想を持っている。この戦略の中でアリババ株やヤフー株が重要なステークホルダーになる可能性もあるので、すでに、Yahoo!のアジア株の処理の密約がソフトバンクとできていても不思議はない。この場合は、アジア株売却がかなり有力となるだろう。
では、検索エンジン部門の切り離しの可能性はどうだろうか。この手紙の前にマイクロソフト、アイカーン氏の部分買収の提案に対して、Yahoo!は明確に拒否している。Yahoo!のコアコンピタンスとも言える検索エンジン部門を切り離すわけはないという意見も理にかなっているが、米国上下両院では、同社のGoogleとの提携に対して本格的に調査を開始している。この構図は数年前マイクロソフトがOSやブラウザ市場で糾弾されたときとまったく同じものといってよい。検索広告市場の独占につながるという点が問題視されている。しかし、ここでYahoo!の検索部門がなくなったらどうだろうか。ポータルサイトやサービスプロバイダが検索市場トップのGoogleと提携することになんら問題はないことにならないだろうか。じつは、すでにYahoo!は組織改革を発表しており、その中で、戦略や資本を「クラウドコンピューティング」にシフトすることを明確にしている。かなりドライな見方をすれば、Googleと提携するなら自前で検索エンジンプラットフォームを持つ必要はない。
Yahoo!が検索エンジン部門を切り離すと決定したとしても、これらの事実を勘案すると、それほど意外なことではないのかもれいない。
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