ソフトバンク、無議決権優先株式発行のための定款変更をとりやめのなぜ

2008年5月20日(火) 14時33分
 20日、ソフトバンクは同日の取締役会において、株主総会に付議する予定だった無議決権優先株式の発行を可能とする定款変更について付議を取りやめる決議をしたと発表した。

 この定款の一部変更については、5月8日の決算発表の際に公表されたもので、同日の取締役会でいったんは総会での議題としての付議が決定していたものだが、その後株主などからの意見を参考に検討した結果、付議の取り止めを決定したという。

 そもそも、無議決権優先株式の発行という制度は、株主への配当を増やす手段として価値があるものとして、孫社長自身が、決算発表の席で述べていた。また、発行の条件として株価が大きく下がらないような状況、措置を講じた上でなければ実行しないし、当面これを行使する予定もないことを強調していた。あくまで、配当のスキームを増やしておくための付議であるということだ。

 これに対して、発表直後から株主からの質問や意見が多数寄せられたという。ソフトバンク広報によれば、そのうち、既存株主からは、株式発行による株価の値下がりを心配する声が多く、結果的に制度の周知や説明などが不十分だったとして、取りやめを決議したという。この制度自体の事例などがあまりないため、結果を予想しにくい状況が株主に不安や混乱を招いたようだ。

 無議決権優先株式には、株主の配当を増やす機能がありながら、企業買収に対して一定の防衛機能もある。議決権がないので市場で売り買いされても経営へ介入リスクは少ない。しかし、反面、ロイヤリティのない株主を増やすことになった場合、(気まぐれな売買により)株価の変動が予測しにくくなるなど、混乱の要素となる可能性もある。

 ソフトバンクとしては、新たなスキームで株主への利益還元や経営を進めていくとしている。
《中尾真二》
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