ドキュメントの「裏画面」で広がる情報共有とコミュニケーション——LUNARRの使い方

2008年2月15日(金) 20時52分
ログインした直後の画面。極めてシンプルだが、Googleもシンプルな画面が成功の秘訣だったはず。イメージはネット上の「紙」だの画像
ログインした直後の画面。極めてシンプルだが、Googleもシンプルな画面が成功の秘訣だったはず。イメージはネット上の「紙」だ
とりあえずURLを貼り付けたところ。ワープロファイルや表計算ファイル、画像データ、あるいは簡単エディタでドキュメントを作成することもできる。もちろん、ウェブサービスとしてのワープロファイル画面を貼り付けてもよいの画像
とりあえずURLを貼り付けたところ。ワープロファイルや表計算ファイル、画像データ、あるいは簡単エディタでドキュメントを作成することもできる。もちろん、ウェブサービスとしてのワープロファイル画面を貼り付けてもよい
貼り付けたドキュメントの裏画面。右上の「ドッグイヤー」をクリックすると裏表の切り替えができる。裏画面はメール機能になっている。使ってみるとわかるのだが、基準となるドキュメント(サブジェクト)ごとに「スレッド管理」されたメールの受信フォルダが自然にできあがるの画像
貼り付けたドキュメントの裏画面。右上の「ドッグイヤー」をクリックすると裏表の切り替えができる。裏画面はメール機能になっている。使ってみるとわかるのだが、基準となるドキュメント(サブジェクト)ごとに「スレッド管理」されたメールの受信フォルダが自然にできあがる
 2月7日、米LUNARRによる新サービスの発表が行われた。LUNARR社は、サイボウズを起業した高須賀宣氏によって2006年に米国ポートランドに設立された会社だ。LUNARRのサービスはアルファ版が2007年10月に公開されているが、今回の発表はベータ版のリリースとあわせたものになる。

 LUNARRのサービスコンセプトは2006年10月に完成し、米国特許申請、クローズド版でのプレビュー開始などを経て、現在に至る。その間に会社のスタッフも12名に増えているが、すべてがコアメンバーともいえる少数精鋭の会社だ。非常に可能性を秘めたサービスと会社といえるが、サービスがイメージしにくい部分もある。編集部では、高須賀氏らから直接LUNARRのサービスについて説明を受ける機会を得たので、サービスの詳細やその意味や使い方などをまとめたいと思う。

 このサービスを説明するにはいくつかのアプローチが考えられる。まず、すこしキャリアのあるエンジニア、プログラマなら、CVS(Concurrent Versions System)をイメージするといいかもしれない。複数の人間がかかわるオープンソース開発などに重用されたソースコード管理ツールだ。CVSでは、サーバーにあるファイルに複数の開発者が同時にアクセスでき、変更の履歴やバージョン管理を行ってくれる。LUNARRのサービスも基本となるドキュメント(CVSではソースコード)をサーバーで管理する点は似ているが、メッセージのやりとりという部分が異なっている。CVSでは、ソースコードに加えられた変更は、システムが管理しており、ユーザーはそのバージョン情報やソースコード内のコメント、あるいは、CVSと並行して稼動させるメーリングリストによってメンバーが把握するようになっている。LUNARRではドキュメントの「裏画面」という概念で必要なメッセージをやりとりする。ドキュメント自体の変更は「編集モード」という機能で実現していると考えることができる。

 プログラマではない人で、「宅ふぁいる便」などのウェブ上の共有ファイルサーバーを使ったことのある人には、この概念がイメージしやすいかもしれない。共有ファイルサーバーは、ファイル(とくに大容量のもの)を相手に送るために使う。サーバーにファイルをアップロードし、同時に送信したい相手にアップロードしたURL(や場合によっては認証キーなどと)をメールで伝える。相手はファイルをダウンロードすることでファイルを入手(共有)することになる。LUNARRもさまざまなファイルを送信、共有するために使うことができる。

 どちらもLUNARRと共通するコンセプトを持ちながら、まったく同じものではない。それらは使用目的に特化しているため操作や使用イメージをつかみやすい。LUNARRはCVSやファイルサーバーにはない機能を持っているが、逆に応用範囲が広すぎて直観的に理解しにくいかもしれない。

 したがって、LUNARRのすべての機能を理解して使いこなすよりも、自分の用途にあった使い方を意識するほうがいいだろう。

 たとえば、本の原稿や論文の校正やプルーフリードに使っている人がいるという。作家と編集者が修正についてメッセージでやりとりしつつ、編集機能で推敲、校正を進めることができる。あるいはグループウェア的な使い方もOKだ。会社のワークフローを申請書類(ドキュメント)をベースに実現してもよい。たとえば、休暇届のテンプレートに必要事項を記入してLUNARRで承認メッセージをつけながら上長に回していく。議事録や資料の共有にも使えるだろう。セキュリティについて問題があるという意見もあるが、LUNARRにアップされたドキュメントは裏画面のメッセージ機能によって指定されたメールアドレスの人間しかアクセスすることができないので、セキュリティレベルと運用でカバーできるだろう。面白いウェブページやコンテンツをみつけたら、そのページごと仲間にLUNARRで教える。受け取った側はコメントをメッセージでやり取りして盛り上がることができる。特定のテーマについて、LUNARR上でサロンのようなものを形成してもよいかもしれない。単に画像や写真を見せ合う使い方もある。

 記者の貧弱な発想では、既存のサービスに近いものしか浮かばないが、オンラインでよく接する友人や同僚などをLUNARRに招待しておくと、データやメッセージなどちょっとしたやりとりが便利になるはずだ。もちろん、それぞれの目的に特化したサイトやサービスには機能面で劣るが、LUNARRのサービスAPIを公開し、LUNARR上のプラグインや新機能が増えてくれば応用範囲が広がっていくだろう。
《中尾真二》
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