日立マクセル、寿命2倍の燃料電池を開発——4,000時間を越える運転が可能に
燃料電池の性能は、電解質に挟まれた2つの電極(アノード、カソード※2)で構成されるMEAに左右される。しかし、発電停止を頻繁に繰り返すことによってカソード(酸素側の電極)内に含む触媒である白金(Pt)が溶解し、固体高分子膜内に移動することでMEAが劣化する。また、カソードのカーボンが運転停止時にアノードの水素と酸素が混在することで酸化することでも劣化が起こる。これらが燃料電池の寿命に大きくかかわっていた。
同社は、カソードに金属イオン捕捉剤を添加することで溶解した白金をカソード内に留める技術や、アノードの水素を取り除く技術を開発し、MEAの劣化を大幅に低減させることに成功。電池寿命を2倍向上させ、実用化の目標としている4,000時間を越える運転が可能な小型の固体高分子形燃料電池(PEFC)※3を開発した。
固体高分子形燃料電池は、資源の有効利用や環境保全のためのクリーンエネルギーとして、自動車用、家庭用電源、モバイル機器用の電源用途として期待されている。この開発により、モバイル機器などの用途でもMEAの長寿命化を可能とし、実用化へ大きく近づくこととなった。
※1 MEA(膜-電極接合体)
白金等の貴金属微粒子を含む触媒を材料とする薄膜電極を、電解質膜の両面に貼り合せた固体高分子形燃料電池の発電部品。
※2 アノード、カソード
燃料電池は、電解質に挟まれた2つの電極(アノード、カソード)で構成される。水素が、燃料電池の「アノード(陰極)」に流れ込み、酸素(または空気)は「カソード(陽極)」を通じて燃料電池に入る。水素原子は陽子と電子に分かれ、陽子は電解質を通過し、電子はカソードに戻るまでに電流を作り出す。
※3 固体高分子形燃料電池
電解質に固体高分子膜を使用した低温作動型の発電装置。燃料は、水素あるいは都市ガスなどから作った水素を成分とするガスと、空気中の酸素を化学反応させ、電気と熱(温水)を得られることから、モバイル機器用、家庭用、業務用、電気自動車用電源への実用化開発が進められている。
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