【CEATEC 2007 Vol.11】自動車と情報社会の融合——インターネットITS協議会

2007年10月3日(水) 23時52分
クルマのネットワーク化と車載プラットフォームの画像
クルマのネットワーク化と車載プラットフォーム
車載プラットフォーム化の必要性の画像
車載プラットフォーム化の必要性
さまざまなセンサー(プローブ)をもつ車載機器からの情報を集約することで、次世代の社会インフラも実現できるの画像
さまざまなセンサー(プローブ)をもつ車載機器からの情報を集約することで、次世代の社会インフラも実現できる
ITSの普及における“3つの壁”の画像
ITSの普及における“3つの壁”
 日産自動車が協賛企業に加わり、オートモーティブ関連が充実したことが、今年のCEATECの大きな特徴だ。オートモーティブとは、自動車関連の電装化技術、というより情報化技術と考えたほうが正しいだろう。カーナビ、ETCはもとより、携帯電話をはじめとする移動体通信技術を活用することで、より便利な、そしてより安全な、人と自動車の関係を作って行こうとするものだ。

 CEATEC JAPAN2007では2日、「トレンドセッション オートモーティブセミナー」と題し、3つセミナーを開催。インターネットITS協議会からは事務局長の時津直樹氏が「自動車と情報社会の融合“実業化まぢか!インターネットITS”」をテーマに語った。

 ITSとは、人・道路・自動車の間で情報の受発信をするシステムをいう。事故の防止、渋滞の解消、さらには省エネや環境との共存や新たなビジネスを創出する可能性ももっている。インターネットITS協議会の時津氏は、1995年頃のVICSから始まり、最近の「プローブ情報システム」に至る日本のITSの歴史を振り返った。

 ITSは、これまでは「車内情報化」であったが、これからは「車外との情報交換」といえるのではないか。そのためには、移動体通信技術が不可欠であるが、安全を第一に考える自動車では当初、通信、特にインターネット技術の活用は考えられなかったという。

 ITS実現の初期段階である1995年のVICSや2002年のETCの頃までは、通信といっても、特別に設置したインフラを前提としたシステムであった。その後、携帯電話など移動体通信技術の発達により、2003年「安全のために通信が使えるかも知れない」、2004年「安全のために通信を使って」、2006年「安全に加え環境や物流のために通信を前提にして」といった感じで、ITSに関する期待が変化していったという。

 そして今年、2007年現在では、J-Safty、スマートウェイ2007、情報大航海プロジェクトなど、新しい政策がITSを前提とするまでになった。特に安全に関しては、エアバックなどの乗員保護を目的とした安全対策から、ITSによる衝突回避、すなわちActive Saftyといった新しい考え方が生まれている。

 ところで、国内の自動車台数は7,500万台にのぼるが、この“集合”は社会インフラとなりうると言う。エンジンによって動力と電気を生み出すが、これを1kWの発電所と仮定すれば7,500万kWの発電所になる。半径100mの範囲に自動車が1台あるとして、それぞれを通信のAPとできれば、日本全土をカバーできる計算だ。このように自動車を、社会インフラとして活用することも考えられるというわけだ。

 さらには、さまざまなセンサー(プローブ)をもつ車載機器からの情報を集約することで、次世代の社会インフラも実現できる。たとえば、走っている自動車のスピード情報を集約することで「渋滞マップ」が、急ブレーキが踏まれることの多い場所の位置情報を集約することで「要注意箇所マップ」が、ワイパーの動作を集約することで「降雨マップ」ができあがるわけである。

 最後に時津氏は、今後のITSの普及における問題点として「通信の壁」「ビジネスモデルの壁」「車載機の壁」の“3つの壁”をあげた。

 「通信の壁」については、技術の発達や低価格化により解消されつつある。また「ビジネスモデル」については、これまでの自動車メーカーのITSサービスの苦戦からもわかるように、確立し切れないでいた。ただし、関係各社間で共通して取り組むべき点と競合していく点の切り分けができ、これまた解決しつつあるという。

 残るは「車載機」の問題である。カーナビでは汎用化の対応がなされておらず、現状、新たなITSへの対応は難しいと思われる。ITS対応車載機は、むしろ、PND(簡易型カーナビ:パーソナルナビゲーションデバイス)の延長線上にあるのかも知れない。
《小林直行》
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