もうGPSは要らない? 地下でもWi-Fiで瞬時に位置情報をゲット——クウジット株式会社事業説明会
PlaceEngineはWiFi(ワイファイ:無線LAN規格のひとつ)技術を応用した位置検出技術。複数の無線LANアクセスポイントの電波を受信し、ソフトウェアによって電波の強さを比較して位置を判断する。ノートパソコンや携帯電話、携帯ゲームなど、Wi-Fi受信アンテナを装備していればあらゆる機器に搭載できる。PlaceEngine技術そのものは2006年7月に公開されており、実験的用途として無料で「PlaceEngineクライアント」をダウンロードできる。また、Webサービス開発者向けには2006年12月からAPIを公開している。
位置検出サービスとしてはGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)が先行しているが、PlaceEngineの利点は検出速度と正確性にある。GPSでは衛星を補足するまでに数分かかる。しかしWi-Fiは0.1秒ごとに電波を送受信するため、1秒以内に受信を完了する。電波受信のためビルの谷間や屋内、地下街でも正確な位置測定が可能で、フロアごとの位置検出にも対応する。デモンストレーションではアプリケーションのボタンひとつで地図に会社説明会場のビルを示し、さらに6階であることも表示した。
PlaceEngineがGPSに対して不利な点もある。当然のことながらWi-Fiアクセスポイントがない場所では位置検出ができないため、海上や山など都市以外の場所では利用できない。また、都市についてもデータベースにある程度のWi-Fiアクセスポイントを登録しておく必要がある。実質的には都市型に限定した位置情報サービスであり、現時点で対応する都市は東京を含む首都圏のほか、国内の17政令指定都市(首都圏以外に札幌、仙台、新潟、静岡、浜松、名古屋、京都、大阪、境、神戸、広島、北九州、福岡)だ。
すでにPlaceEngine技術を実験的に採用したWebサイトがいくつかサービスを開始しており、地図情報サイトで現在位置を表示したり、グルメサイトで位置情報を元に最寄りの飲食店を表示したりできる。PSP(プレイステーションポータブル)対応のゲームソフト「みんなの地図2」にもPlaceEngineAPIが搭載されており、GPSアダプタ無しでも自分の位置を地図検索できる。日本中をくまなく位置検出するためにはPlaceEngineとGPSの併用が望ましい。今後の地図ソフトにはPlaceEngineとGPSの搭載が標準となるかもしれない。
PlaceEngineはユーザー参加型の設計思想が特徴である。ユーザーからの位置問い合わせや位置登録が充実するほど位置を推定するエリアが充実し、精度が向上する。つまり、現在非対応となっている都市も、ユーザーが訪問して位置情報を登録していけば対応可能となる。政令指定都市の対応はPlaceEngineの開発実験でスタッフがアクセスポイントをスキャンしたことで実現している。今後は事業パートナーが位置情報サービスを提供することで他の都市でも利用可能になると思われる。
KoozytはPlaceEngineを利用したサービスとして、現在提供されているWebサイトとの連携やPC、携帯電話、携帯ゲームによるナビゲーションのほかに次のような例を挙げた。
1.デジカメなどにPlaceEngineを搭載して、撮影情報データに位置情報を組み込む
地図上に風景の写真を貼り込むサービスなどが可能になる
2.Wi-Fi搭載携帯オーディオ機器との連携によるヒットチャート作成
渋谷でもっとも聴かれている音楽はなに? などがわかる
3.ショッピングモールなどで位置情報のみを利用
フロアごとのイベント、セール情報を携帯機器に配信
例えば、ショッヒングモールや地下街、空港などの広大な駐車場で駐車した位置を記憶させておき、帰りに自分のクルマにナビゲーションさせる、というサービスも可能になる。記者のように駐車場で自分のクルマを見失いがちな人、人気車種を買ったばかりに自分のクルマを間違えやすい人には待望の機能になるはずだ。PlaceEngineには単なる位置検出だけではなく、さまざまなビジネスを予感させてくれる技術と言えるだろう。
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