ガジェットのルーツはNEKO.COMだ!——LiveとVistaに見るマイクロソフトのプラットフォーム戦略

ガジェットのルーツはNEKO.COMだ!——LiveとVistaに見るマイクロソフトのプラットフォーム戦略

2007年4月3日(火) 23時52分
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マイクロソフト オンラインサービス事業部 プロダクトマネージメントグループ Windows Liveチーム シニアマネージャー安藤浩二氏の画像
マイクロソフト オンラインサービス事業部 プロダクトマネージメントグループ Windows Liveチーム シニアマネージャー安藤浩二氏
デスクトップとウェブもインターネットを通じてシームレス、モードレスなさービスを実現させるの画像
デスクトップとウェブもインターネットを通じてシームレス、モードレスなさービスを実現させる
ユーザー、パートナー企業、開発者、広告クライアントのエコシステムが確立されるの画像
ユーザー、パートナー企業、開発者、広告クライアントのエコシステムが確立される
ガジェットの実体はなじみのある2〜5つのファイル。これらをzipでまとめて「.gadget」という拡張子をつけたものがVistaガジェットで、サーバに配置し、URLで実行するのがLiveガジェットの画像
ガジェットの実体はなじみのある2〜5つのファイル。これらをzipでまとめて「.gadget」という拡張子をつけたものがVistaガジェットで、サーバに配置し、URLで実行するのがLiveガジェット
LiveガジェットとVistaガジェットの特徴と違いの画像
LiveガジェットとVistaガジェットの特徴と違い
Liveガジェットの構造。じつはマニフェストと既存のサービスを行うURLへ飛ばすだけのHTMLだけでもガジェットができるの画像
Liveガジェットの構造。じつはマニフェストと既存のサービスを行うURLへ飛ばすだけのHTMLだけでもガジェットができる
WPFを利用すれば、サイドバーガジェットでは、六面体の各面に動画を貼り付けて回転させるという複雑な処理も難しくないの画像
WPFを利用すれば、サイドバーガジェットでは、六面体の各面に動画を貼り付けて回転させるという複雑な処理も難しくない
 4月3日、マイクロソフト オンラインサービス事業部は、Windows Liveに関してガジェットとVirtual Earthのデモを交えたプレスセミナーを開催した。

 アプリケーションやサービスのプラットフォームが、ハードウェアやパッケージソフトからウェブに移ったといわれて久しい。マイクロソフトはその回答として、Windows LiveとWindows Vistaという2つのプラットフォームを用意している。しかし、その革新性や戦略が見えにくいという印象がぬぐえない。これは、既存プロダクツのサポートを続け、ソフトランディング的な市場転換を図らなければならない巨大プラットフォームベンダーとしての宿命のようなものだろう。

 今回のプレスセミナーでは、Windows Live、Vistaサイドバー、そしてVirtual Earthという3つのサービスプラットフォーム(API)を「マッシュアップ」という切り口で、それらの機能や適用事例などが紹介された。スピーカーは、安藤浩二氏(マイクロソフト オンラインサービス事業部 プロダクトマネージメントグループ Windows Liveチーム シニアマネージャー)と川岸達之氏(同 サーチチーム プロダクトマネージャー)の2名だ。

 セミナーは、安藤氏のサービスプラットフォームとしてのWindows LiveとWindows Vistaについての説明から始まった。まず、マイクロソフトはWeb2.0という言葉は使わず、AjaxとUX(User Experience)という表現を使うという。「Web2.0」は便利なキーワードだが実体が見えにくいからだろう。実際、ティム・オライリー氏のいうWeb2.0の7つの定義は成功事例を整理しただけで、それらを体系的に統合したわけではない(余談だが、「Web2.0」という単語の発明者はティム・オライリー氏ではなく、O'Reilly Mediaの役員であるデール・ドゥーラティ氏である)。

 では、マイクロソフトのLiveとVistaとはなんだろうか。それは、ユーザーに共通のサービスを提供するための文字通りのプラットフォームだという。ありがちな疑問として、Windows LiveとMSNとの違いがわからないというのがある。これは、MSNはウェブ上のポータルサイトであり、Liveはサイトのためのサービスプラットフォームと理解するとよい。この場合、プラットフォームとは、開発者から見ればAPIであり、ユーザーから見ればサービスや情報を受けるための道具であり、パートナー企業や広告クライアントから見れば双方向メディアとなる。そして、これらの関係をうまくつなげる「エコシステム」を完成させるために、ガジェットが重要になってくるという。

 その理由として、ガジェットはブラウザ(Live)でもデスクトップ(Vistaサイドバー)でも同じ見え方でサービスを提供でき、XMLとHTML(+JavaScript+CSS+グラフィックデータ)がベースとなり実装が極めて簡単であること。広告モデルを意識したアーキテクチャなどを挙げた。実際、ガジェットはマニフェストと呼ばれるXMLファイル、画面上の見た目を定義するHTML、コード部分のJavaScript、それにCSSと必要なグラフィックデータで構成される。コードを実装する上でのAPIも豊富なので、ガジェット1つの開発に必要な時間は2時間弱だという。

 ただし、ブラウザとデスクトップで同じサービスや機能を提供するといっても、現状では両者に互換性はない。これはブラウザのAPIとVistaの(正確にはVista OSに組み込まれたサイドバープラットフォームの)APIが同一でないからだ。これは、方向性としては好ましくないので、実現できるかは別として統合化したい意向はあるという。

 互換性がないことによる機能的メリットもある。Liveガジェットは端末やマシン環境を選ばないで使える。Live.comによるガジェットコレクションのタブ共有などコミュニティ機能だ。VistaサイドバーガジェットのWPFを使った3Dなど豊富な表現力とUX、高度なセキュリティ機能などは、商用ガジェットには有効だ。

 ガジェットのルーツは、日本でいえばMS-DOS時代の常駐ソフト(ネコのグラフィックがカーソルを追うNeko.comが有名だった)に遡ることができる。その後もX Window System用のXeyesやXclock(Emiclockなんていうのもあった)などニーズは古くからあったわけで、最後に安藤氏は、ガジェットがアプリケーションやサービスのビジネスモデルを変える可能性はあるとしめくくった。
《中尾真二》
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