【FOE 2007 Vol.8】IP網とインターネットは別物 −−NTT西日本のNGN戦略
冒頭で森下氏は、米Googleや米Amazon.com、米YouTubeなどの企業を具体例として挙げて、Web 2.0が引き起こす通信とコンテンツとの融合が通信・インフラ業界の枠組みを変え、さらにはビジネスモデルまでを根底から変化させようとしていると語った。現在、日本では。全インターネットユーザーの約4割にあたる2,500万回線を越えるブロードバンドサービスが提供され、そのうちの1割近い715万回線がFTTHという世界トップレベルのFTTH先進国となっている。NTT西日本では、現状では月10万契約のFTTH回線の純増を記録しているが、ブロードバンド普及期とは異なりxDSLやCATVといった代替手段がある現在では、FTTHは以前のような普及ペースは見込めないとの予想を示した。森下氏は、その理由をFTTHへの移行を後押しする魅力的なサービスが用意されていないからだとしている。
1996年から97年にかけて日本中がダイヤルアップ接続によるインターネットブームで沸き、続いて2000年からは徐々にDSLなどによるブロードバンドが普及しつつあることにより、インターネットベースのさまざまなサービスが展開可能となった。しかし、パケット通信は、基本的にパケットロスが起こることを前提としている上に、パケットロス発生時にはパケットの再送信で補う記録通信向けのインフラであるため、VoIPのようなリアルタイム通信に適さない。これを裏付ける事例として、昨年頻繁に発生した「ひかり電話」のふくそうに言及し、サーバ用ソフトウェアは設計通り動作したが、パケットロスを抑えるなどのネットワークのコントロールに関するノウハウのなさから起こった障害であるとした。
これらの経緯を踏まえ、森下氏はIP網とインターネットというものは別のものであり、インターネットを経由するサービスと、IP網のみを利用するサービスとをはっきりと区別する必要がある、とした。現在広く普及しているIP電話のようなサービスはインターネット技術を利用しても実現できるものだが、前述の通り、インターネットは「ベストエフォート(森下氏曰く「無責任な」)」タイプの品質が保証できないサービスであるため、このようなものを提供し続けるのは業界としても、ユーザとしても望ましくない。そこで2010年を目標にFTTH契約数を3,000万回線にまで引き上げ、ネットワークの制御によるセキュア、かつ高品質で信頼性がある通信が可能となるNGN(Next Generation Network:次世代電話通信網)を推進する、とした。そして、NGN普及に向けて収容率の向上や工期の削減などによるFTTHのコスト削減を最大の課題として挙げ、今後も大いに取り組んでいくとして講演を締めくくった。
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