JTの個人向けDSLサービスをEAに営業譲渡。EAは早期に100万加入のめどを、JTは全国規模のバックボーン利用者を確保 | RBB TODAY
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JTの個人向けDSLサービスをEAに営業譲渡。EAは早期に100万加入のめどを、JTは全国規模のバックボーン利用者を確保

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 日本テレコムの個人向けDSLサービスをイー・アクセスに譲渡することは、両社にとってメリットある合意でもあったようだ。

 今回の合意に伴う発表を再度まとめると、以下の2点に集約される。

 ・日本テレコムは個人向けADSL回線事業をイー・アクセスに営業譲渡。これによりイー・アクセスは7月よりODNに対してADSLホールサービスを提供する
 ・日本テレコムの持つ842局の設備と営業権の譲渡を受けることにより、イーアクセスは日本テレコムの全国規模バックボーン回線の利用者ともなる。

 ADSLサービスの価格が下がることにより、DSL関係の事業者は規模の経済によるコスト上のメリットを追求せざるを得ない状態になっていた。そうした中で、早期よりDSL事業に参入していたイー・アクセスは、利用者を獲得しやすいエリアでしかもバックボーンを確保しやすい場所において先行サービス投入をしてきた。それこそが、イー・アクセスが順調に利用者を伸ばしてきた要因だったかもしれない。

 しかし、これから先は東名阪のバックボーン環境に困らないところからはずれたところへの投資となり、すでに先行サービスを提供しているNTT東西やJ-DSLなどの先行サービスと利用者の獲得合戦をすることになる。このスケールメリットが求められる現在のDSL事業者にとって、特定エリアでの利用者獲得合戦は互いの体力を消耗するだけのものでしかすぎない。そこに、J-DSLの個人向け回線事業の営業譲渡を受けることにより、イー・アクセスは短期で利用者拡大を見込める。しかも、新規拡大エリアに対してはJ-DSLの既存利用者という母数があるため、利用者の取り合いをしなくてもすむ。

 逆をいえば、日本テレコムの持つバックボーン回線を使ってイー・アクセスは念願の全国規模の展開ができることとなる。結果として、イー・アクセスのホールセールを利用するISPは喜び、イー・アクセスも早期100万加入のめどがつけられる。日本テレコムにとっても、全国バックボーンの顧客としてこれからはイー・アクセスを位置づけられる。同時に、日本テレコムはJ-DSLサービスに関しては法人向けだけに専念することができ、個人向けJ-DSLサービスに関してはエクスクルーシブでイー・アクセスがホールセールサービスを提供することになる。

 今回の合意は、実に両社にとってメリットのあるものとなっている。最終の譲渡締結日は決まっていないが、日本テレコムの譲渡時資産は53億円と見込まれており、日本テレコム、イー・アクセス共によい買い物をしたようにもみられる。また、視点をずらすと日本テレコムはイー・アクセスに対して40億円の出資をしているものの、今回の営業譲渡により日本テレコムは55億円を取り返したことにもなる。ただ、今回の営業譲渡金額をどのような形で支払うかは明確になっていない。

 今回の営業譲渡がうまくいったのは、イー・アクセスにとって日本テレコムが筆頭株主の一社であるという部分もないとはいえない。しかし、それ以上にお互いにとってメリットがあったといえそうだ。

「日本テレコムとイー・アクセスのDSLAMとDSLモデムは同じベンダーで設備投資の無駄が生じない」(イー・アクセス COO エリック・ガン氏)

 と二重投資の無駄が著しく少ないところは事実のようだ。また、

「規模の経済によって、エンドユーザにはサービスやサポートの向上としてメリットを還元していく」(イー・アクセス CEO 千本倖生氏)
「日本テレコムはADSL利用者を失うわけではない。イー・アクセスはコア事業部分を強く推進しており、日本テレコムのお客様、ならびに株主に対して、イー・アクセスとの提携は成功をもたらすものと確信しいる」(日本テレコム ウィリアム・モロー氏)

 としており、互いの得意なところを大きくのばせるというところが今回のキーとなりそうだ。今後の両社における動向には非常に興味深いところがある。たとえば、すでにイー・アクセスはVoIPのサービスを提供している。また、日本テレコムは、IP網へのシフトを急いでいる。そんなことから、今回の回線事業の合意はシナジー効果を得るだけに限らず、今後の音声通信サービスにおいても、両社のつながりは深くなる可能性がないとはいえないだろう。



 営業譲渡によるイー・アクセスの加入者は、5月見込みでイー・アクセスが31万、J-DSLが21.5万となっていることから、合わせて52.5万加入の規模となる。また、提供局数は、イー・アクセスが現在473局、J-DSLが842局で、両社を統合すると、875局でのサービスとなる。
《RBB TODAY》
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