NTTの目指す光時代のサービス。あるべき姿は3Dベースのインターフェイス | RBB TODAY

NTTの目指す光時代のサービス。あるべき姿は3Dベースのインターフェイス

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 23日にNTT(持株)は光時代のサービス展示会場の見学会を実施した。光サービスアーキテクチャコンソーシアム(HSAC)のシンポジウム開催に伴い同時に公開された研究開発センターでは、NTTの光サービスにかける意気込みを確実に知ることができる。光になって、どんなコンテンツを流せばよいのかという議論自体、ここでは時代遅れであり陳腐に思える。接続帯域を意識しないことは、今のゲーム機のような3Dのユーザインターフェイスの世界ができあがることを意味するのかもしれない。

 HSACは光時代のコマースサービスを支えるアーキテクチャとして、HIKARIコマース基盤プロトコルの策定を進めている。このプロトコル規定の議論に参加すべきパートナーを集めるとともに、これまでの活動内容の経過報告が今回のシンポジウムのひとつの目的である。そして、HIKARIコマースの基盤として使われるテクノロジの例を、NTTが別の会場で公開した。

 HSACの目的は、光時代にコンテンツを安定して提供する基盤を作り、インターフェイスとして公開していく部分にある。そのベースとして、コマース部分のプロトコルがようやくまとまりつつある。さらに多くの参加企業を集め検討していくことで、光時代のコマース向けプロトコルの規定が終盤にむかうことになるだろう。とくに、情報家電であっても、よりよくコンテンツを閲覧できるように、プロトコルのネゴシエーションは細部にわたって検討していかねばならない。これから先、さらに多くのメーカ、インフラ、コンテンツ提供主と、各分野の事業会社が並ぶことが求められている。

 このHSACのシンポジウムの開催直前に、会場を提供したNTTは光サービス時代の基盤として、3つの開発中のテクノロジのデモを公開した。いずれも開発中ということで画面の撮影はできなかった。どんな画面かは公開用画面を入手できた段階で改めて公表する。

 3つの開発中のテクノロジの中でもっとも完成しており、さらに各種アプリケーションに組み込まれはじめているのが、情報を整理して表示する「InfoLead」というユーザインターフェイスだ。情報表示をするために3次元空間のインターフェイスを採用し、そこに100枚以上の情報を表示する。直感でわかりやすいいインターフェイスは、すでにHSACのインターフェイスをベースにしたアプリケーションに利用されはじめようとしている。アプリケーションインターフェイス的には、表示している各情報をオーバーレイする形でまったく違う情報をシームレスに表示することもでき、つねに同一のユーザインターフェイスで操作できることが大きな特徴といえる。

 InfoLeadは見え方、つまり雑多な情報をどう整理して見せるかというインターフェイス部分を受け持つ。エンドユーザにもっとも近い部分だが、ユーザインターフェイスだけあらたなものになればいいというものではない。光時代のひとつのサービスとして、P2P型テクノロジにも期待が集まっている。

 また、NTTはあらたなP2Pテクノロジとして「PREFERENCE/SIONet」という1つのサービスモデルを開発している。まだ開発途中のPREFERENCE/SIONetは、PREFERENCEという情報検索のテクノロジとSIONetというP2P型テクノロジを組み合わせたもので、アプリケーションのベースにSIONetが存在する。SIONetの特徴はサーバをまったく経由しないブローカレスのサービス提供にある。したがって、多数の端末が常時接続されればされるほど、その価値はどんどん高まっていく。

 今回のデモでは、ユーザの行動からユーザ嗜好を想定するPREFERENCEというテクノロジをSIONetに組み合わせたデモとなった。この組み合わせでは、ユーザがネットサーフィンをするだけでユーザの嗜好を判別し、ネットワークの端末から該当する嗜好情報にマッチするコンテンツを探し出して表示することができる。これは、PREFERENCEがユーザのアクセスしているHTMLの内容から嗜好情報を取得し、SIONetが得られた嗜好情報をもとにマッチするコンテンツを表示するからである。たとえば、ユーザがおいしいラーメン屋のウェブサイトや東京都の情報を閲覧していれば、PREFERENCE/SIONETはユーザの行動から都内のおいしいラーメン屋という嗜好情報を抽出して、P2Pモデルとして各端末にある都内のおいしいラーメン屋のメニュー情報や地図情報、動画を探し出して表示するのだ。

 もうひとつ、光時代にはライブ中継が多用されると想定されている。ただし、どんなにバックボーンが広くなろうとも、広帯域ストリーミングをユニキャストで多数の視聴者に届けることはあまりにも非現実的である。結局、テクノロジとしてはマルチキャストが重視されることになるだろう。ただし、すべてのルータや経路でマルチキャストを通過させるようにするには手間がかかる。こうしたことから、NTTは「ライブストリーミングスイッチ(LSS)」という方式を開発している。

 LSSの概念はかなり単純だ。各拠点に中継用サーバを配置し、そこまでの経路だけはマルチキャストにしておく。エンドユーザは一番近い中継サーバから配信を受けるため、全国の1,000拠点に中継用サーバを配置すれば、100万人に1Mbps程度のライブ放送をストレスなく届けられる。現実的に、地域IP網や各ADSL事業者の拠点に中継サーバをおけば、この構想はかなり現実的なものに思える。光時代になれば、ライブストリーミングも本格的に普及するようになるかもしれない。

 これら3つのテクノロジを元に、ビジュアルショーケースやサイバーモール、オークション、ポータルサイトといった現実的なアプリケーションを、HSACは想定しており、その展示も別会場で実演された。いずれも、利用しているネットワーク帯域が10Mbps以上のものがほとんどである。今の環境から考えると帯域のむだ使いに見えるかもしれないが、既存のユーザインターフェイスから考えると、光サービス時代には、テレビゲームのような3Dインターフェイスを持った表現こそが直感で情報を選べ、利用者の使い始める敷居をぐんと下げる効果につながるだろう。

 どちらにしても、光サービスのエリアが広がり、HSACを含めたさまざまな活動で安心して使えるネットワークが構築されることで、われわれのネットワークの使い方はどんどん変化していく。そんな世界が本当にやってくるのかどうかは、エンドユーザ自身が光サービスをどれだけ受け入れるかによるのかもしれない。

 エンドユーザ宅に光サービスが到達するには、レジデンシャルゲートウェイや情報家電のさらなる開発も含まれる。メーカ自身はパイが広がれば手がける準備はできている。エンドユーザは、価格が下がれば購入する準備ができている。この微妙なにらみあい状態からいつスケールすることになるのかはわからない。しかし、魅力的な機器とサービスが魅力的な価格で提供されれば、確実にスケールすることは間違いない。
《RBB TODAY》

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